NAMBU
BRAND
SITE

技術課題に寄り添うものづくり

Engineering

南武の製品開発ストーリー

社会課題、顧客課題に向き合う。
南武の製品開発ストーリー

製造現場の危険作業・重労働をゼロにする。
圧倒的な省力化と安全性向上への貢献

成形時、シリンダー内にエアーが入ると品質が損なわれてしまう長年の懸案がありました。製造現場では気泡を抜くため、数時間にわたる大型生産設備に登る危険な高所作業を続けていました。
この課題に向き合うなかで冷却効果の重要性に気づき、危険作業の回避と作業効率の向上、製品品質改善を同時に実現する製品を創り上げました。

Q. 開発が始まった経緯を聞かせてください。

会長が顧客企業の相談を受けて、プロジェクトが開始されました。生産現場では、長らくシリンダー内の気泡混入が課題となっていたにも関わらず、具体的な施策が打てない状態でした。気泡混入により、設計通りのチカラが発揮できずに品質を下げてしまう課題を解決してほしいという要望でした。
設計担当は、明確にアサインがあったわけではありません。長い年月をかけて検討を重ねている中で機が熟し、アイデアを出したりしているうちに担当になっていました。気づいたらやっているということは、南武ではよくあります。生産、製造チームは、他製品と変わらないスタンスでいつも通り課題を発見し、確認を行いながら製品化しました。

Q. S-AOC とはどのような製品ですか?

自動車部品向けダイカスト製品に使用されています。 ダイカスト製品を造るための作動油循環シリンダーで、シリンダー内に混入した空気の自動除去、自動冷却を行います。これによりパッキンの寿命が向上し、外形寸法を変更しなくても冷却効果が得られます。
従来、空気抜き作業は手動で行っていました。高所作業だったために危険を伴っていました。混入した空気の自動除去は、作業者の安全性も高める画期的な製品になりました。

Q. 開発はスムーズに進んだのでしょうか?難しさはなかったでしょうか?

AOC(Automatic Oil Cooling Cylinder)へのニーズは、20年ちかく前からありました。その後に、空気を自動除去できる技術が求められました。しかし、シリンダー自体が小さいうえにその機構の中に埋め込まなければならず、当時はコンパクト化が難しかった。
コンパクトにしすぎても設備機器の性質上、組付けが難しくなる場合もあり、最適化が求められました。
とにかく制御装置が小さい。ホコリが一つ入っただけで正常に作動しない可能性があり、極めて気を使う作業になります。
現在でも組付けで不具合があったり、うまく動かないこともあります。原因究明とテストを行って改善しながら、設計・生産・製造現場が日々の連携の中でノウハウを蓄積してます。

Q. 新しい技術開発には、自社内だけではできないことがあると思います。どのように越えているのでしょうか?

自社では開発できない部品があり、従来の取引先でも製造できないという課題がありました。さらに、未知の技術を個別対応で小ロット生産するため、対応してもらえる会社になかなか巡り会えないこともあります。今回は、中途採用メンバーが既存の取引先になかった技術をもった会社との新しいつながりをつくってくれたことで、実現することができました。
製品特性にも関わらず、チカラを貸してくださるパートナー企業の方々には、心から感謝しています。

Q. S-AOCの顧客の反応はいかがでしょうか?

長らく望まれた製品を生産現場に導入していただき、1台あたり3時間かけていた作業工程がゼロになり、大幅な時間短縮を実現できたこと、作業の安全性が高まったことに高い評価をいただいています。
1社のニーズに対して長い年月をかけて向き合い、業界初となった技術は、特注・セミオーダーできる仕様として役立っています。

Q. 今後、取り組んでみたいこと。チャレンジしたい事がありましたら、お聞かせください。

海外現地法人で仕事をしていると世界各国の主要な企業に採用され、南武の技術がグローバルに求められ、製品が日々活躍していることを感じることができます。今後も、いっそう当社の製品を世の中に広めていきたいです。

南武の工場は、それぞれ創意工夫をして特色が異なっています。製造担当者としては、海外工場でどのような取り組みをしているか現地を訪ねたいですね。

一人ひとりが、得意分野・興味ある仕事を選択できる職場環境で、横断的な知識を身に付けられるジョブローテーションをさらに発展させていきたいです。