社会課題、顧客課題に向き合う。
南武の製品開発ストーリー
実現が困難と思われた技術。
みんなのアイデアが積み重なって生まれた、
2段階制動の油圧シリンダー
大手自動車メーカーA社より生産効率向上のため、従来は成型機の段取り替えを必要としていた製品替えを、1つの機械で完結する構想を相談されました。今回ばかりは実現不可能だと思いました。
Q. 開発が始まった経緯を聞かせてください。
A社は、かねてより当社製品をご利用になり、評価を頂戴しております。
従来は2つの製品の成形を行う場合に必要とされてきた成型機の段取り替え作業を、何とか省略して効率化できないかを検討されていました。他社では実現できないとのことでした。そこで、南武が検討を開始しました。
Q. 相談された製品について教えて下さい。
従来技術である油圧シリンダーに特殊機構を融合した製品です。
従来は、1つ目の製品用金型を取り外し、2つ目の製品用金型をセットする際に、シリンダーも別のものに付け替える必要がありました。
1つのシリンダーに2つの異なる動作をさせる機構を盛り込むことで、付け替えを省けないか、という要望でした。
南武でも、前例のない全く新しい設計が求められました。
Q. 実現が難しいプロジェクト、どのように具現化されたのでしょうか?
今回は既存設備に組み込む計画なので、大きさやストロークなどに多くの制約がありました。加えて、求められる動きをするシリンダーが弊社にありませんでした。当初、設計リーダーと営業担当で詳細を聞きながら、適合する技術を探していきました。実際に設計を始めるとまったく思うようにいかず、「もう無理かもしれない」と思うこともありました。
でも、ここからが南武らしさです。困っていたら、放っておかない。自然と設計チームのみんなが課題解決に関わってくれます。一人の力だけでなく、総合力で解決していく文化があるんです。
各々が案件を持っているにも関わらず一緒にアイデアを捻り出し、かつて使った技術の組み合わせにより解決策が導き出されました。
ところが、限界まで調整をしても標準的なストロークが納まりませんでした。最後は営業担当者がA社にご説明し、許容できるとの判断をいただき、採用にいたりました。
Q. 毎回、セミオーダー、特注製品の設計には多大な時間を要するのではないでしょうか。今回の製品化にどれぐらい時間を要したのでしょうか?
製品の納入先は大手企業が多く、やると決まったらすぐに納品を求められることも少なくありません。しかしながら、ご相談いただく製品はカタログ寸法通りということがほとんどありません。いつも新しい設計が求められます。
今回のプロジェクトでは、2ヶ月間の設計に加え製造の期間を要する、比較的長いものになりました。この試行錯誤の中で、脱落したと思われた設計案も別の機会に採用されました。
Q. 顧客の反応はいかがでしょうか?
実現が難しいかもしれないと思われていた生産工程の効率化が可能になり、A社からは高い評価をいただいております。
現在、国内工場だけでなく、インドネシアなどの海外工場にも採用されています。
Q. 今後、取り組んでみたいことやチャレンジしたい事はありますか?
これまでの油圧シリンダー技術に加え、顧客企業の中で生まれている新しい課題に対してチャレンジしていきたいですね。
実際、今取り組んでいる新しい案件にも、頭を抱えてしまうような難しい課題が含まれています。でも、A社の時のように、仲間が一緒に考えてくれるので、また難題を乗り越えて要望にお応えできると信じています。